2015年12月03日

産神問答

むか〜しむかし ある村に
二八という男がおったそうな。
ある日、急な用事でとなり村まで行くことになった。
困ったことに女房は、いつ産気づくかわからない。
「急いで戻るから。」 と言い残し家を出た。
気持ちは急くが、石臼峠まで来たときに
どうしても眠くてたまらなくなった。
しかたなく、神社に泊めてもらうことにした。

夜更けに、ジャンジャンジャンジャンと派手な音を立てて
鈴馬に乗った神様がやってきて、 
「隣の村でお産があるから、一緒に行ってくれんか。」 と言った。
峠の神社の神様は、
「今夜は客人が泊まっておるから留守にできん。
ひとりで行って安産させてやってくれ。」 と答えた。
鈴馬の神様は、ひとりで行ってまた戻ってきて言うことには、
「安産させてきた。だが、かわいそうにその子は
二十歳になった時、蛇の餌食になる運命じゃ。」
それを聞いた二八は、
「これは、うちのことかな。」 と不安になった。

次の日急いで用事を済ませ家へ帰ると、
元気な男の子が生まれておった。 玄吉と名付けた。
二八はなんとか玄吉を助けたい一心で、
熱心に神信心して、ひそかに金を貯めた。
あの晩、神社で聞いたことは誰にも話さなかった。

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posted by 蕎麦屋の女将 at 23:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 蕎麦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月02日

背負い水

人は、一生のうちに飲む量の水を背負って生れてくる。

その水を 「背負い水」 というのだそうです。

小説のタイトルにもなりました。

生れた時すでに寿命が決まってるってことですよね。

てぇことは、

年が明ければ91歳の母は、

かなり大量の水を背負って

生れてきたことになります。

さぞ重かったことでしょう。

あとどのくらい残っているのでしょうか。

知りたいような、知りたくないような … 。


「背負い水」 があるのなら

「背負い蕎麦」 もあるかもしれない。

そうとは知らずに食べた最後の ざるそば。

ふと見ると、空になったざるに 

「 完 」 の文字が … 。


生れた時に運命が定まっている。

「産神問答」 とよばれる昔話が日本各地に、

そして よく似た話が 世界中にあります。

お産担当の神様が出てきます。

ほとんどのお話は、

神様が決めた運命のとおりの歳に、

神様が定めたとおりの理由で亡くなります。


ひとつくらい

ハッピーエンドバージョンはないものか。

ありました。 島根県に。

蕎麦も出てきます。

そば屋の女将がちょっとアレンジした 

大団円Ver. ご紹介します。

少し省略したつもりですが、

それでもちょっと長いです。

お暇な方だけ、また明晩。

あなただけ今晩は。



石臼碾き手打そば 「 百日紅 」



posted by 蕎麦屋の女将 at 21:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする