2013年03月14日

掘出し物

掘出し物ってよく言いますが、

土の中から あるいは家の中から掘り出したもの、というのが始まりでしょうが、

悪い奴が貴人の墓などを掘って高価なものを頂戴する、

これすなわち 「掘出し物」 ってわけで、まことに怪しからん言葉なのです。


幸田露伴の 逸話を紹介しつつ のエッセー「幻談・観画談」 の中に

「骨董」 というタイトルの文があります。

「これは二百年近く古い書に見えている談である。」 で始まる

「片鐙(あぶみ)の金八」 という話がおもしろいです。


京都の金八という道具屋が大阪へ下る途中、深草の古道具屋で、

時代蒔絵の立派な鐙をみつけた。が、残念なことに片方しかなかった。

値段を聞くとほんの端金。だが片方だけではしかたない。未練を残しつつ店を出た。

またしばらく行くと、京橋の道具屋にさっきとそっくりの鐙がこれも片方あった。

少々値は高かったが先方のいい値で買った。あとで深草の鐙と合わせて三十両で売って

ひと儲けしようと、いそいそ自分の店へ帰り父親にこの話をした。 すると…

「慾に気が急いて、鐙の左右も確かめず買ってきたのかっ!」と どやしつけられた。

金八の腹の中を読んだ深草の古道具屋が、近道をして先回りし、同じその鐙を

京橋の店に埋めておいて、金八に掘出させたのだった。

鐙はもともと片方しかなかったのだ。 というお話。


掘り出し物なんてぇのは、そうめったにあるもんじゃあない、ってことです。

なんとかオークションに夢中なそこの貴方、お気を付けください。



石臼碾き手打ち蕎麦 「 百日紅 」



ラベル:掘出し物
posted by 蕎麦屋の女将 at 22:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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