2018年08月27日

天保そば

そば屋の修学旅行 第三弾 YAMAGATA 2018


1998年(平成10年)福島県の旧家を解体中 天井裏から俵が六つ出てきた

俵は三重になっていて 俵と俵の間には細かく砕かれた炭や灰がびっしり詰まっていた

そしてその俵の中から出てきたものは 「そばの実」 

江戸時代の後期 天保の大飢饉 を生き延びた その家の先祖が

子孫に同じ思いをさせまいと 天井裏に保管したものだった

「そば」は 救荒作物

炭や灰は 「そばの実」をネズミや湿気から護るための知恵

先祖の 熱い思いが 真っ黒な俵に詰まっていた

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というわけで この「天保そば」に興味を持ち 

今回の そば屋の修学旅行の舞台は 山形 となりました

YAMAGATA 2018

160年前のそばの実は 様々な研究機関で発芽実験を繰り返しましたが

発芽させることはできませんでした

翌1999年(平成11年)天保のそばの実は

山形の 鈴木製粉所 に持ち込まれました

県内の手打ちそば店へのそば粉の供給を一手に引き受ける 鈴木製粉所

そばを知りつくした先代社長の鈴木彦市氏は 地元の蕎麦職人たちの協力を得て

見事そばの実を発芽させたのでした

さらに 本当に160年前のものか 俵の藁の炭素年代測定を依頼した結果 

ほぼ間違いないことがわかりました

福島のそばの実が山形で蘇ったのです そして「天保そば」と名付けられました

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「鈴木製粉所 石臼館」で 色々な資料を見学することができます

工場と石臼館の間を歩いていると ふっとそば粉のいい香りが鼻先をかすめました

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案内してくれたのは 彦市氏の娘さん 目のクリっと大きな綺麗な方でした

そば漫画「そばもん」の記事もあちこちに展示されていました

第9巻に「天保そば」が紹介されています

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天保のそばの実は 現在のように改良された品種とは違い

人の手が加わっていない いわゆる「在来種」

普通「在来種」というと小粒 というイメージがありましたが

写真右下のような巨大な実も混じっていました

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そう 俵の中には何種類ものそばの実が混在していたのです

どのような環境の地に蒔かれても

その環境に合った実が わずかでも芽を出してくれれば という

先祖の必死の思いが伝わってきます

ロマン より 執念を感じる そばの実 です


原種は 他品種と交配しないように 日本海に浮かぶ 飛島 で育て 保存されています

食べるためのそばは それを元に山形県内で栽培し 期間限定ながら

「天保そば保存会」のお店で食べることができます


最後に 娘さんが 意外なひとこと

「一つだけ 事実と違うところがあるんですよね」

えっ? 「そばもん」に間違いがあるの?

「漫画の中では、自宅が工場のすぐ隣にあるように描いてありますが

本当はもっと別の場所にあるんです」


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石臼碾き手打そば 「 百日紅 」




posted by 蕎麦屋の女将 at 21:18| Comment(0) | 蕎麦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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