2019年12月25日

キャンドルサービス

イブの夜 家族で近くの教会の
キャンドルサービスに参加しました

この教会を訪れるのは十四年ぶり
父が亡くなってから
しばらく精神的に辛い時期があり
毎週日曜日 礼拝に通っていたのです

あの頃の懐かしい顔が 
聖歌隊の衣装を着て並んでいました

礼拝式が進み 
やがて目の前のロウソクに火が灯され
聖書の朗読 聖歌隊の合唱 
そんな 厳かな時が流れているのに
わたしはなぜか 
三遊亭圓生師匠の
「死神」を思い出していました

ラストシーンは こんな感じ

死神が主人公の男を連れて
沢山のロウソクがズラッと並んで
燃えている所へやってきます
男は一本の元気のいいロウソクに気づきます

男:おっ ここにずいぶん長くて威勢よく燃えてんのがありますね

死神:それがお前の倅だ

男:奴ですか やつは長生きなんですねぇ
で この隣に半分くらいんなって
威勢よく燃えてんのがいますね

死神:それが元のカミさんだよ

男:やっぱりやつもまだ長生きをするんですねぇ
あっ ちょっ ちょっ ちょっ
ここに これっぱかりになって
今にもけぇそうに(消えそうに)なってんのがありますね

死神:それが お前

男:えっ?

死神:お前の寿命だよ

男:だって 今にもけぇそうじゃないですか

死神:けぇそうだ けぇた途端に命はない 
もうじき死ぬよ

以下略


今まさに 私の目の前で
同じような光景が展開されていたのです

左隣の夫のロウソクも 右隣の娘のロウソクも
火を灯した時と変わらず 真っすぐに長いまま
炎が静かに揺らめいています

ところが 私のロウソクは 
炎が右側に大きく傾き
蝋がみるみる溶けて
どんどん短くなって
シュールな蝋細工を作り上げているのです
礼拝が終わるまで 
私の命の炎は燃え続けることができるのか
ついに一部が剥がれ 一つまみの蝋が
ころんとテーブルの上に転がり落ちました

あぁっ! 私の命のかけらが...
けぇるよ(消えるよ) けぇるよ けぇるよ
圓生師匠の声が聞こえる

その時 聖歌隊の列から 
一人のご婦人が近づいてきて
今やただの蝋の塊と化した私のロウソクを
新しいきれいなロウソクと
取り替えてくれたのです

こうしてイブの夜 
私の命は蘇ったのです

エアコンの風がピンポイントで
私のロウソクの炎を攻撃していただけ
と思いたい


年末の営業のおしらせ

26日(木)〜29日(日)営業
30日(月)休業
31日(火)大晦日 営業


石臼碾き手打そば 「 百日紅 」




posted by 蕎麦屋の女将 at 23:37| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月10日

見附島の食べ方

おばあちゃんのしわくちゃな手が
運んできた皿に載っていたものは

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メレンゲがまさしく 
クラウドだ 入道雲だ
食べきれるかな

入道雲はこの厚さ

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半熟卵にナイフを入れると
とろ〜りと黄身が流れた 
(半熟ではないな)
時折感じるメレンゲの塩味とベーコン
早くパンケーキに辿り着きたい

そして バジルソースと卵の黄身で味わう
パンケーキのお味は 
ホットケーキミックスのパンケーキとは
違う
サイダーを使っているせいか
ふっくら ふわふわ 芳ばしい

パンケーキは三段
そう 三枚
おばあちゃんの説明によると

一段目
昨日と同じように体が動くことに感謝
二段目
昨日と同じように店を開けられることに感謝
三段目
昨日と同じように生きていることに感謝
感謝の三段重ね

最後の一切れは メープルシロップで甘くして頂いた

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珠洲焼の一輪挿しの緑が目に涼やか
おばあちゃんが 豆から挽いて淹れてくれた
珈琲も美味  
さいはてブレンド

そういえば
珈琲を淹れている時のおばあちゃんの背筋は
シュッと伸びていた
ような気がする

おばあちゃんの夢は?と聞いたら

「あのぉんねぇ 
クルマの運転免許を取りたいと思っとんがいね」
そう言うと ちょっと首をすくめた

ごい野望を抱いていた

今度 もう一度ここに来たら 
古ぼけた小さなお地蔵様が一体 
ポツンと立っているだけかもしれない

そんなことを考えながら
珈琲の最後の一口を飲み干した

おっと そろそろ日が暮れる
帰らなくちゃ


「お父さん、あのゴジラ雲 スマホで撮っといて。」

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サービスエリアで
家族連れにみつかっちゃった
パンケーキをたらふく食べたから
ちょっとお腹が出てるかもしれない 
恥ずかしい


石臼碾き手打そば 「 百日紅 」



posted by 蕎麦屋の女将 at 21:01| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月09日

さいはてバス

夏の終わり 抜けるような青空のもと
お父さんとお母さん 
そして小さな坊や 
お弁当を広げてる

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楽しそうだな 
しあわせを絵に描いたような景色
そんな三人を見下ろしていたら
なんだかお腹が空いてきた
よし今日は ちょっとお出かけしよう


一日に三本しかないという
路線バスに乗ることにした
海沿いを走るバス
車窓から見えるのは 海 波 海
降りたバス停の名は「さいはて」
名前が気に入った

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バス停と道路を挟んで向かいに
小さなカフェが店を開いていた
古い民家を改装したような
ちょっと素っ気ない感じの外観

入口に「見附島あります」の文字
見附島?
能登半島の先っちょに浮かぶ「見附島」?
あっ さっきバスの窓から見えた

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そうか 「見附島を食す」 
いいかもしれない
一度 食べてみたかったんだ

店内は 海に面して大きな窓が開いた
意外にモダンなつくり

「おいであそばせ」 
しわがれた声の主は 
ちょっと背中の丸まったおばあちゃんだった
白髪に白い割烹着
モダンなインテリアには
およそ似合わない人物登場

「あのぉ 見附島あります 
という張り紙を見たんですが…」

「見附島かいね はい ちょっと待つま」
そう言うと 白い割烹着は厨房に消えた

他に客はいない

無造作に置かれたグラスの水を飲みながら
メニューを開くと ただ一品

“エッグインクラウド 見附島”

パンケーキに雲のようなメレンゲと
半熟卵をトッピング。
ミラクルソルト、黒胡椒、バジルソースが絶妙。
生地に揚げ浜塩を使った
「奥能登地サイダー しおサイダー」を加え、
ふっくらと焼き上げた
当店オリジナルのパンケーキです。


パンケーキ メレンゲ バジルソース 
あの背中の丸まったおばあちゃんには
不釣り合いな単語が並んでいる

一体どんな「見附島」が出てくるのだろう
バジルソースは大好きだから 
わくわくしながら待つ

やがて 
おばあちゃんのしわくちゃな手が
運んできた皿に載っていたものは


石臼碾き手打そば 「 百日紅 」

posted by 蕎麦屋の女将 at 13:40| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする