2015年09月25日

蕎麦の声 ― 新そば編 ―

蕎麦の声 の続編です。


木鉢の中の新そばが、

も〜い〜よっ!

と言うので、そこで加水をやめると … 。

時にひどい目にあうのです。


「くくり」 を始めると、

ややっ、 加水が足りないっ。

粉がまだ水を吸い続けてるぅ。

気付いた時にはもう遅い。

木鉢の中で「新そば」が 
 
あっかんべぇ〜  をしています。

騙された。

「新そば」は 大嘘つき です。

「ここからが腕の見せ所だ。」 などとうそぶきつつ、

そば屋おやじは、加水の足りないそば粉と格闘するはめになるのです。


「新そば」 が嘘をつく理由のひとつは、

収穫したばかりのそばの実は、

含水量にばらつきがあるから。

また、そばの実一粒の内側でも

水分の偏りがあるみたいです。

乾燥しているのは実の表面部分だけ。

製粉されたこの表面部分が そば粉の中でまず先に水分を吸収し

も〜い〜よっ!  と嘘をつく。

「くくり」 を始めてから 

騙されたことに気付く そば屋おやじ。


収穫してから月日がたてば、水分が均一になっていくので、

嘘をつかなくなる。


「新そば」 の季節は、日本中の手打ちそば屋おやじたちが

「新そば」 と格闘する季節でもあるのです。


さあ今年も 百日紅店主を悩ます

「新そばの季節」 がやってまいりました。


石臼碾き手打そば 「 百日紅 」




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2015年09月24日

蕎麦のへそ

9月16日水曜日 第18回「そば屋交流会」は、

都内の宮本製粉さん見学会でした。

蕎麦粉専門の製粉工場を見学するのは始めて。

そば屋女将にとって 

今までとは違った刺激を受けた交流会でした。


収穫して加工する前の 「玄蕎麦」 とよばれる蕎麦の実が

「そば粉」 になるまでには、いくつもの工程があり

それらすべてを 自動制御された機械が行っています。

二階建ての大きな工場内に 人影はなく、

ただ ただ 機械の轟音が響くだけ。

当店で見なれた石臼の

数倍はあろうかという巨大な石臼が 

こっちに何十台 そっちに何十台 あっちにも何十台 

ずらりと並んで回っている様は壮観でした。

百日紅店主の毎日の手作業が 

ひどく原始的なものに思えて。


見学後のレクチャーも含め、

いかに今まで 蕎麦のことを

何も知らずにそば屋をやってきたか

実感した半日でした。


蕎麦にも「へそ」があるんですって。

蕎麦の実が茎と繋がっていたところ。

黄色い矢印が 「へそ」 です。

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最後に試食させていただいた

「北海道摩周産 秋新そば キタワセ」

味濃く 甘く 美味しいそばでした。

営業担当の方の蕎麦打ちの腕

侮れません。

百日紅でもさっそく取り寄せ 

十割そば としてお客様に提供しました。

「 新そば 」 という言葉の響きは、

魔法の力をもっているのか。

十割のご注文が続きました。


さて、その 「新そば」 ですが …



石臼碾き手打そば 「 百日紅 」





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2015年09月03日

鳩山 手打そば 楓

7月、鳩山の自宅のすぐそばに お蕎麦屋さんが開店しました。


「 手打そば 楓 」


「楓」さんご夫婦の出身は、なんと 福島県楢葉町。

福島でそば屋を開店して1年足らずで東日本大震災に見舞われました。

楢葉町といえば、原発から20キロ圏内。

避難を余儀なくされ、鳩山町での避難生活が始まりました。

この4年間で様々な困難を乗り越えての 「楓」 開店だったようです。

そんな話を聞いちゃぁ 訪問せずにはいられない。


1度目の訪問は、雨の水曜日。


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店内に入ると 新築の香り。

新しくて 清潔で 設えもシンプルで 落ち着いたお店です。

せいろ、かけ蕎麦、限定10食の「楓ご膳」 をいただきました。


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きれいに切り揃えられ しゃきっとしたそばでした。

汁は 「百日紅」に比べると少し甘口。

ちょうどお昼時でお忙しい時間帯でしたので、

「百日紅」の名刺だけを残して退散。


しつこく2度目は、月曜日 つまり定休日の前日の夜 訪問しました。

気さくなご夫婦で、蕎麦に対して 「ひたむき」 「誠実」

そんな言葉がぴったりのお二人でした。

時の経つのも忘れて すっかり話しこんでしまいました。


「こちらに移ってきたばかりの時は、米を食べても 野菜を食べても、

何を食べても美味しくなかった。」


避難生活のスタートを思い出し 話してくれました。

福島時代は 地元福島県産の蕎麦 と 北海道産の蕎麦 を

ブレンドして打っていたそうですが、

現在は、「北海道幌加内産」を使っているそうです。


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「楓」さん と「百日紅」 … と

そば屋の梯子をなさったお客様のはなしから始まり、

蕎麦の実のはなし、石臼のはなし、打ち上がったそばのはなし、

汁のはなし、辛味大根のはなし、仕込むそばの数のはなし … 。

話題は尽きません。 

楽しい そば屋の週末の夜 でした。

「楓」さん ごちそうさまでした。


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石臼碾き手打そば 「 百日紅 」



posted by 蕎麦屋の女将 at 21:47| Comment(2) | TrackBack(0) | 蕎麦 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする